日本財団 図書館


 

(6) 倫理の問題

● ネットワーク上における倫理の在り方及び国際連携についての検討が必要ではないか。

?@ 米国においては、ネットワーク上に猥褻、卑猥、挑発的、醜悪、下品な情報をのせた者について、2年以下の懲役、10万ドル以下の罰金が規定されたアメリカ通信法改正法(Telecommunications Act of 1996)が96年2月に発効した。

 

?A 法案の内容としては、電気通信及び双方向コンピュータサービスを用いて、猥褻、卑猥、挑発的、醜悪、下品な表現を、相手が18歳以上の場合には、脅迫、嫌がらせの意図で、相手が18歳未満の場合には、意図に関係なく、作成、伝送開始を行った者は、2年以下の懲役、10万ドル以下の罰金というものである。

 

?B しかし、この法律において、平成8年2月26日には、マイクロソフトやアップルコンピュータなどコンピュータ関連会社や米国新聞協会など23の企業・団体が、今回の法律の倫理取り締まり条項については、米国憲法が保障する表現の自由を犯す恐れがあるとして、同条項の撤廃を求める訴訟が起きるなど議論を呼んでいるところである。

 

?C 日本においては、96年2月にネットワーク事業者の協議体である電子ネットワーク協議会がネットワーク運営事業者が守るべき「倫理綱領」と利用者側への「ルール&マナー集」を発表したところである。

 

?D 本問題については、猥褻情報が氾濫したり、誹謗・中傷が無制限に行われると多くの一般人のネットワークヘの参加を躊躇させることになる可能性がある一方、規制(特に政府による規制)が過剰になされる場合にはネットワークの自由な利用への抑制がかかるおそれがある。

 

?E いずれにせよ、これらの問題は基本的人権の尊重、表現の自由、検閲の禁止など憲法上の問題と密接に関係することから慎重に検討すべき問題と考えられる。現在のところ、この点について十分な国民的なコンセンサスが形成されているとは考えにくく、今後どのような対応が適切かについて、国民全体による議論を広め、コンセンサスが形成されることが必要であろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION